2022年8月31日 18:00
【インタビュー】「僕が作った曲だけど僕だけで作っていないって感じるものが確かにあるんです」20周年を迎え、辿り着いた森山直太朗の現在地とは…。
なんて毎年言うんですよね(笑)。冬の寒さなんて嫌と言うほど経験してきただろうに。やっぱり人間って、失って初めて本当に大切なものとか、正しい価値観にピントが合うから、そうなる前にいろいろ想定したり想像したり、自分なりに答えはないながらも試行錯誤していく謙虚さっていうのは必要ですよね。自分にもそれは言い聞かせているんですけど。
――本当に苦しい経験をそれでも創作にしていくというところが表現者の業ですね。
特に今回のコロナは、例えば留学するっていう能動的な経験とは決定的に違うものでしたから、何とも言い難いものがあるし、もう二度と経験したくないって思うんですけど、それでも自分としては、かけがえのない経験だったと言えますね。
――その経験を歌にできたことはご自身と歌が一致したという感覚ですか?
そこがすごく難しくて。僕が意識できていることとか、僕が認識できていることのもっと奥にあるものを引き出してくれたというような感覚ですね。
――それは冒頭にもおっしゃった、「“素晴らしい世界”は自分の内側にある」という認識の仕方とつながりますね。
そうですね。とってもシンプルで普遍的な感覚です。
――その感覚が歌詞の中で〈懐かしい〉と表現されていることにある意味での驚きを感じました。