初夏の夜、暗闇のなかで躍動する金色の肉体 大駱駝艦『Crazy Camel Garden』公演レポート
に由来する。
一方、会場となった庭園美術館は、久邇宮朝彦親王の第8王子である鳩彦王が1906年に創立した宮家・朝香宮家の邸宅だった場所。フランスに長期滞在していた朝香宮夫妻は、フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼し、日本古来の職人技を駆使しながらアールデコ様式でこの邸宅を作った。
つまり、今回の『Crazy Camel Garden』はまさに、様々なレイヤーで近代と前近代、日本と西欧が交錯する催しであるわけだ。
晴れて心地よい風が吹く夕べとなった公演最終日、芝庭の特設舞台にまず現れたのは、全身に金粉を塗った舞踊手たち。舞踏の創成期、踊り手たちはキャバレーなどでの金粉ショーに出演して生計を立てた歴史があり、大駱駝艦では今も路上などで金粉ショーを行っているが、『Crazy Camel Garden』の舞台上に居並び、こちらをみつめる舞踊手たちはさながら、三十三間堂の仏像だ。次第に深まる夜闇の中、金色の肉体がきらめくさまは実に艶やか。初日は雨だったようだが、濡れた身体もまた風情があったことだろう。
と、そこに、リボンとセーラー服の白塗りの女学生(麿赤兒、鉾久奈緒美)