だから多くは挫折をし、また悪い方向に戻ってしまう。一方で、レールの上をきちんと走っている人たちも、決して幸せではない。自分も苦しいから、自分より困っている人たちに厳しいのだ。それでも、ひとりひとりと接してみると、思いやりのある人は、たくさんいる。社会は冷たくても、人は温かい。三上がそう発見していく様子を描く今作は、たっぷりの感動と、ヒューマニティに満ちている。私たちはみんな、もっと他人に優しくするべきではないか。世の中は、もっと人にセカンドチャンスを与えてあげるべきではないか。
泣かせてくれた後、そんなことを考えさせてくれる傑作である。
文=猿渡由紀
日本公開は来年2月11日。