2021年8月9日 13:15
自分の生き方をまっとうするのに許可なんていらない。ミュージカル『ジェイミー』ゲネプロレポート Part1
だからだろう。こんなにもジェイミーを応援したくなるのは。時につまずき、涙を流しながらも、とびきりキュートな笑顔で立ち上がるジェイミーの姿に心が揺り動かされるのは。
ジェイミーが暮らすシェフィールドは、労働者たちの街だ。人々を支配する保守的な価値観。職業適性テストで決められる自分の将来。まぶしい夢を見る子どもたちを、教師のミス・ヘッジ(樋口麻美)は「現実を見なさい」とたしなめ、同級生のディーンはジェイミーを「ホモ野郎」と蔑む。
左から:小西詠斗太田将熙佐藤流司川原一馬MAOTO
左から:安蘭けい保坂知寿
狭苦しい灰色の檻の中で、ジェイミーは言う、「自分の生き方をまっとうするのに許可なんていらない」と。お仕着せのタキシードじゃ私じゃない。もっと自分らしい服装でプロムに出たい。16歳のジェイミーの胸に宿ったその夢から物語は一気に動き出す。
そんなジェイミーの冒険をきらびやかに飾るのが、音楽だ。ポップスを主体としたキャッチーなメロディが、あなたも一緒に踊ろうよと観客の手を引く。高揚感たっぷりの「誰も知らない」に乗せて繰り出される高校生たちの軽快なステップ。椅子代わりのボックスを使ったムーブに、笑い声まで聴こえてきそうな賑やかなダンスは、まるで手づくりのカーニバルだ。