2021年8月9日 13:15
自分の生き方をまっとうするのに許可なんていらない。ミュージカル『ジェイミー』ゲネプロレポート Part1
森崎の小さな顔と長い脚が、ドラァグクイーンに憧れる役どころにぴったり。真っ赤なハイヒールがその脚線美をより際立てている。注目は、ハイヒールを履いた状態で踏むステップの足さばきと腰使い、しなやかな腕のライン。愛すべき新たな主人公が、ここに誕生した。
そしてディーン役の佐藤は憎まれ役ながら、終盤でのジェイミーとの関係性につい頬が綻んでしまう。劇中でディーンのバックボーンが詳しく語られることはないが、その屈折した内面をつい観客が想像したくなるのは、佐藤が演じているからこそ。また、厳格な態度でジェイミーを突き放すミス・ヘッジだが、注目してほしいのは彼女の足元。そこに教師としてではない人間としての彼女のキャラクターが見えたとき、思わずいとしさがこみ上げてくる。
ジェイミー:森崎ウィンディーン:佐藤流司
近年、「多様性と調和」が社会のテーマとなっている。誰も差別しない。誰も排除しない。平等で公平な社会を築いていこう。そう号令をかけるのは、今この社会がまださまざまなアンフェアに満ちているからだ。
そんな偏見と迫害が根強く残るこの社会の一員として、本作で特に響いた台詞がある。詳述は避けるが、ある場面で女子生徒たちがお互いのドレスについて「私だったら着ないけど、あなたには似合っている」