くらし情報『ライブ・アルバムへの思いを語る 植山けい(チェンバロ)』

2021年9月30日 12:00

ライブ・アルバムへの思いを語る 植山けい(チェンバロ)

かつてヨーロッパの人口の1/3が亡くなったという黒死病(ペスト)の大流行によって、17世紀の著名な作曲家であるフォンタナが亡くなっていたことを知り、音楽修辞法において、へ短調は「死」を象徴する調性の曲としてバロック時代に使われることが多かったことも知りました。また、”Memento mori(死を憶え)”というフランダース絵画にも多く描かれている骸骨や花、砂時計、虫は、「人生は儚く、私たちは刻々と死に向かっていることを忘れるな」という格言と結びついていたということも知りました。当時の人々が体験した家族や知人の身近な死と、それに伴う絶望感と死生観は理解できないもの。そう思っていた状況を今の時代に体験するとは夢にも思い描いていなかったのです。そんな中でのコンサートだったからこそ、形に残しておきたいと思ったのです。

●作品についての覚書

バッハの『半音階的幻想曲』からは、痛烈な死生観を感じます。絶望と希望が右往左往する即興的なパッセージと自答自問するようなレチタテイーボ。半音階による不安げなフーガは最終的には希望に満ちた響きへと誘われます。
この曲をバッハはどんな思いで作曲したのでしょう。ドイツ人の音楽学者ピーター・シュレーニング(Peter Schlening)

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