山田孝之・仲野太賀W主演『十一人の賊軍』──砦を守るのは札付きの悪党たち!【おとなの映画ガイド】
同盟軍に従順なふりをして、最後は官軍側に寝返り、勝ち組になる算段。実は、砦の決死隊は、準備が整うまでの時間稼ぎ、いわば捨て石だったのだ。
そんな歴史背景が、この映画では冒頭にわかりやすく映し出されるので、歴史に詳しくないって人もこの世界にどっぷり浸れる。 “砦作戦”を決めた家老の内匠(阿部サダヲ)、命令を受けて決死隊に加わる剣の達人・鷲尾兵士郎(仲野太賀)、死罪のところを狩りだされた駕籠かきの政(山田孝之)、この三人の動きを中心に、ストーリーが展開されていく。
砦を守る集団の戦い、といえば、『七人の侍』『十三人の刺客』といった集団抗争時代劇の名作を彷彿とさせる。
その成否は、集められたメンバーの魅力にもかかっている。本作でも、ドラマが進むなかで決死隊の面々のユニークなキャラクターが浮き彫りになっていく。いい役者をみつけてきたな、と思わせる渋いキャスティングだ。
山田扮する政をはじめ、いかさま賭博師の赤丹(尾上右近)、花火師の息子で脱獄幇助をして捕まったノロ(佐久本宝)、檀家の娘を犯した坊主・引導(千原兄弟の千原せいじ)、ロシアへの密航で捕まったおろしや(岡山天音)