山田孝之・仲野太賀W主演『十一人の賊軍』──砦を守るのは札付きの悪党たち!【おとなの映画ガイド】
、一家心中で生き残った農民・三途(松浦祐也)、姦通の二枚目(一ノ瀬颯)、辻斬り(小柳亮太)、強盗殺人の爺っつぁん(本山力)、そして火付けで罪人になったなつ(鞘師里保)の10人。個性的な面々であれば当然の内輪もめがおこり、すきあらば逃げようとするわけで、決して心ひとつでないところが面白い。
千葉の鋸南町に作られた砦のオープンセットもみどころのひとつだ。東京ドーム1個半ものスペースに、全長30メートルの吊り橋をはじめ、大門、本丸、物見櫓がまるで実在したかのように出現した。吊り橋の下には川がつくられ、VFXが加わると大渓谷のなかの難攻不落の砦となる。
白石監督から美術チームに伝えられた吊り橋のイメージは、名作『恐怖の報酬』。たしかにあの、今にもおちそうな雰囲気がよくでている。
さらに、時代劇ファンとしての白石監督のこだわりも。 アクションシーンで参考にしたというのはサイレント映画の『雄呂血』、小林正樹監督の『切腹』『上意討ち 拝領妻始末』といった古典。たしかに、仲野太賀のチャンバラにその影響をみてとれるし、元剣術家の爺っつぁんを演じる本山力(東映剣会所属のプロフェッショナル)