LOSTAGE 47都道府県巡礼〈LOSTAGE the TOUR〉ファイナル・川崎クラブチッタ公演レポート ここから得たものをすでに形にして次へ
バンドの手渡し方とファンの受け取り方が、ここでは何より重要なのである。五味岳久が後半のMCで語っていた。
五味岳久(b、vo)
「なんでも好きに食べれるビュッフェスタイルもいいけど、それも豪華やけど、自分ひとりのために作られた弁当のほうがうれしいと思う。CDは4000枚弱売れた。ツアーだけ回ってこんだけ売れるって、間違ってなかった」
『PILGRIM』からの全10曲が終わったあとは過去曲が続く。いわゆる代表曲が連発されるのが常だが、ここでの選曲はやけに渋い。前述したbachoとのスプリット収録曲、かつてGEZANと出したスプリット収録曲、さらにはごく初期曲などが中心で、メジャー時代の曲はたった一曲のみ。マニア以外ついていけない流れだが、しかし誰も振り落とされる様子がないところがこの日のフロアの面白さだ。
ファンダムをクローズドにするのは、悪く言うなら狭い村社会、好意的に解釈すればバンドが「他は知らんけど、君たちのことだけは信じている」とメッセージを放つ行為である。それを一度受け取れば「他の流行は知らんけど、LOSTAGEの選ぶ道には付いていく」覚悟が生まれるのだろう。変にストイックな覚悟とは違う。