ぴあアプリの人気連載『川本三郎の 映画のメリーゴーラウンド』が書籍化
ぴあアプリ版で昨年12月まで連載された映画評論家・川本三郎さんのエッセイ『映画のメリーゴーラウンド』が、連載時のタイトルのまま、文藝春秋から書籍化、14日に発売された。
映画の尻取り遊び、連想ゲーム。作品や俳優、監督だけでなく、でてきた場所や食べもの、風俗などをつなげていく。一本の作品の話をすると、映画の話は止まらない。ちょっとした小物、小道具が、そこに込められた思いを想像させ、いろいろなことを暗示させる。映画についての雑学、トリビアならこの人、川本三郎さんの楽しいエッセイ集だ。
「こうしたことが映画批評の本流からは、はずされてゆく。なんとも勿体ない。
まるでパンの耳を捨てるようなもの。ディテイルにも映画の作り手の思いが込められているのに、それを無視してしまうのは、長年、映画を見て来てきた人間には、まったく納得出来ない。
映画のメリーゴーラウンド(つまり、尻取り遊び)とは、遊びながら、同時に普通、忘れられがちなディテイルをよみがえらせようとする試みである。時には、パン本体より耳のほうがおいしいもの。あまりディテイルにこだわるとすぐに「木を見て森を見ない」と批判されるが、木あっての森であることを忘れてはならない。