くらし情報『ユーモアと皮肉と醜さのスパイスを効かせた人間喜劇―演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『冬のライオン』』

2022年4月3日 12:00

ユーモアと皮肉と醜さのスパイスを効かせた人間喜劇―演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『冬のライオン』

愛情と憎悪はコインの裏表なのかも知れない。

佐々木のヘンリーはスケールが大きい国王というスタンスではなく、わがままで迷惑な亭主に近い。息子3人に対する感情、接触ぶりを変えながら権力者の苦悩と孤独を描いた。高畑は時にヒステリックに、時に喉をゴロゴロ鳴らす猫の如く夫に甘える。自在の演じ分けである。息子の中では三男ジョンを演じた浅利陽介の喜劇味が愉快だった。

ユーモアと皮肉と醜さのスパイスを効かせた人間喜劇―演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『冬のライオン』

左から、浅利陽介(三男ジョン役)、永島敬三(次男ジェフリー役)
それにしても、だ。権力者の家庭背景とか身勝手な愛情の行方、独断と偏見によって動かされる政治などとは何と恐ろしいものか。
(2/27所見)

『冬のライオン』公演期間:2022年2月26日(土)~2022年3月15日(火)会場:東京芸術劇場プレイハウス

プロフィール
大島幸久(おおしま・ゆきひさ)東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には「名優の食卓」(演劇出版社)など。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。
「毎日が劇場通い」という。

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