ドキュメンタリー映画界の巨匠、ニコラ・フィリベール監督が語る。「自分もまだ修行中」
『医療関係のみなさん、特に献身的にサポートしてくださった看護師のみなさんに敬意を表したい』と。その気持ちがこの映画を作ることにつながっていきました」
学校で学ぶ生徒たちは、年齢も性別も国籍も出身地も宗教もさまざま。フィリベール監督は、マネキンを相手にしての訓練から、実際に患者さんを相手にしての実習まで、生徒たちの研修の日々をつぶさに見つめている。そして、初めて患者さんを前にして戸惑いと緊張、生徒間でのおどけた様子など、生徒ひとりひとりのさまざまな表情を収録。そうしたシーンで編み上げられた作品は、生徒たちの肖像を浮かび上がらせると同時に彼らが右も左もわからないひよっこから、一人前の看護師へと成長していく過程が見事に収められている。
「医療というのは命の最前線とでもいうべき現場。さまざまな困難があることが容易に想像できます。その世界に飛び込んだ彼らのファーストステップをつぶさに見つめることに徹しました」
通常ならば、撮られたくないと思われる、指導官と生徒の面談の場面。
そこも記録することに成功している。
「指導官から厳しい意見が飛び交いますし、生徒のほうからも不平不満を漏らすことや今後の不安の言葉が出る。