ドキュメンタリー映画界の巨匠、ニコラ・フィリベール監督が語る。「自分もまだ修行中」
となるとそれに沿った映像を撮ることに終始してしまう。僕は、日常に起きる突発的なことを取り込むことこそがドキュメンタリーの醍醐味だと考えている。だから、翌日に何を撮るかはノー・プラン。事前に決めることはないんだ」
25年前の作品『動物、動物たち』から自らカメラを回し撮影するスタイルをとっているが、撮影で大切にしていることも同じだという。
「相手に対して、わたしからこうしてくれああしてくれといったリクエストや押し付けをすることは一切ない。『ここをまずは撮影して、次はここを押さえる』みたいな撮影プランもない。一番大切にしているのは、彼らが発信してくれるものをきちんとキャッチすること。彼らが発信してくれるものを、見逃さずにきちんととらえられることに僕は集中している。
いつでもキャッチできるようスタンバイの状況に常に自分の精神を置いているよ。
あとはやはり、被写体との信頼関係が大切。きちんとした信頼関係を築いた上で、彼らがこれはとってもいいよと受け入れたものをありがたく撮らせていただく。そういう姿勢で常に臨んでいるつもりです」
監督デビューをして40年以上が経過した。このキャリアもある意味、疑っているという。