2021年10月7日 17:00
甲斐翔真「誰に感情移入しても感動できる」、ミュージカル『October Sky』ゲネプロ&初日前会見レポート
打ち上げカウントダウンが楽しい「うまくいけば」や、彼らを応援する科学の教師ミス・ライリー(夢咲ねね)と繰り広げる「言われた通りに」で制作に邁進する様子をコミカルに立ち上げる。
高校卒業後、多くが炭鉱夫になる中で無謀な目標を立てた“ロケットボーイズ”に対する周囲の反応は冷ややかだ。特に炭鉱を束ねるホーマーの父ジョン(栗原英雄)は、自分と異なる人生を歩もうとする息子の理解に苦しむ。サイエンスフェア全国大会の優勝を経て進学するか、既定路線の炭鉱夫になるか──。揺れ動くホーマーの前に立ちはだかる現実のやるせなさ、行き場のない悲しみや虚しさを、甲斐は歌声や表情ににじませた。
ボーイズの夢はいつしか、寂れた炭鉱町の希望となっていく。家族を愛し、ホーマーの夢を守ろうとする母エルシー(朴璐美)は「地に足つけて」で息子の背中を押す一方で、ミス・ライリーやホーマーの恋人ドロシー(中村麗乃)と歌う2幕冒頭の「最後のキス」で息子と離れがたい気持ちも覗かせ、観客に時代を超えても共通する親心を届けた。
ゲネプロ前に行われた初日前会見で、稽古を経てどういうカンパニーになったか問われた座長の甲斐は、演出を手がけた板垣の「僕の演出する舞台には主役・脇役・アンサンブルという隔たりはなく、全員が主役で見せ場を持っている」