2022年2月10日 12:00
過酷な体験と向き合い描き続けた創作の軌跡を振り返る『生誕110年 香月泰男展』練馬区立美術館で開幕
香月泰男《告別》1958年 東京国立近代美術館
「第3章1959~68シベリア・シリーズの画家」では、香月泰男の代表作となるシベリア・シリーズを取り上げる。モノトーンを基調とした重厚な作品は、当初、香月が当地の抑留経験を思い出すたびに描かれ、体系的なものではなかったが、1967年に画集として発売されたことをきっかけに「シベリア・シリーズ」としてまとめられ、世間に知られることとなった。本章では、シベリアシリーズに並行して描かれた日常風景をモチーフにした作品も紹介する。
香月泰男《北へ西へ》シベリア・シリーズ 1959年山口県立美術館
香月泰男《1945》シベリア・シリーズ 1959年山口県立美術館
第三章 展示風景より
第三章 展示風景より
そして、展覧会は「第4章1969-74 新たな展開の予感」と続く。画集を出版した後も香月はシベリア・シリーズを描き続けていたが、その題材は自身の体験談から、次第に風景画的なものへと変化していった。また、1970年代に入ると、香月は鮮やかな色彩も使用するようになり、彼の注目度はより一層高まっていく。しかしながら、1974年、香月は心筋梗塞のため62歳で突然の死去。