「Googleストリートビューはプライバシーの侵害に当たるのか」弁護士が解説してみた
■“プライバシーとして保護するか”が争点だと上記3要件が重視される
ただし、“そもそもプライバシーとして保護するべきか”という点が争われる場合、この要件の充足の有無がかなり問題になってくることがあります。
私見ですが、「宴のあと」事件判決は単なる地裁判決であり、私生活上の事実等に対象を限定すること、また、非公知性を要求する点で、現在では不適切な要件になっているのではないかと考えています。
特に、非公知性については、昭和39年当時は、情報の発信者はもっぱらマスコミであり、個人が社会に物事を公表することは著しく困難で、「一般の人々に未だ知られていない」という状況が容易に観念することができました。
しかし、現在はインターネットを通じて誰でも気軽に情報発信ができるようになっており、インターネットに投稿されれば、その情報は誰でも閲覧できる以上、「一般の人々に未だ知られていない」ということを観念することができない状況と思います。その結果、「宴のあと」事件の要件を用いれば、インターネット上に掲載された事項については、プライバシーとして保護されない、ということになってしまいます。