山岳救助失敗で救助隊に賠償命令…これってどういうこと?
公権力の行使に当たる公務員が、(2)その職務を行うについて、(3)故意または過失によって、(4)違法に、(5)他人に損害を与えたことの5点を必要とします。
本件ではもっぱら救助隊の救助の方法の適切さが論点となっているため、(3)ないし(4)の要件を充たすかが争われています。この判断に当たっては、裁判例の多くは公務員が「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか」という基準に則っているといえるでしょう。
■本判決に対する私見
本判決が批判されるのは、自分からわざわざ危険な場所に行った人を救助隊が(税金を使って!?)命がけで救おうとしたのに、多額の賠償責任が認められるならばだれも救助になんか行きたくなくなるのではないかという感情があるからだと考えられます。
私の母も雪山遭難のニュースを見るとよく「そんな危ないところに行かなければいいのに」などと言っています。
しかしながら、どんなに相手に道義的・法的な落ち度があったとしても、自分の仕事を果たさなかったらその果たさなかった程度に見合った責任を負うというのが法律の世界なのです。本件では、自分たちも亡くなった男性と共に雪庇(崩落の危険のある雪の塊)