福山市の病院で発生した「在庫処分」投薬…指示した医師は罪に問われる?
敢えて患者さんに死傷の結果を生じさせようとした、或いは死傷の結果が生じても構わないと思っていた、などの場合はさらに、過失ではなく故意の“傷害罪”“殺人罪”に当たり得るともいえますが、“故意”の立証は難しい可能性があります。
本件では、報道によれば、当該医師が『効果はあると思った』と供述されているようであり、実際にその点の医学的評価がどうなのか(現に投与を受けた患者さんに対する効果は医学的にみておよそあり得ないのか、場合によっては効果があり得るのか等)は気になるところです。
仮に、効果は全く無く、かえって有害、といったことが明らかな投薬なのだとすれば、病院全体の管理体制の問題も考える必要がありそうです(報道によれば薬剤部でおかしいとの指摘はされたようですが、結局投与に至ってしまってはいるので)。
なお、医師が『効果が全く無いと知って当該薬を処方した』場合は、診療報酬の不正請求(詐欺)等の問題も生じ得るところです」(伊東弁護士)
このようなことが起こるのは残念。大多数の医師の皆さんは額に汗して懸命に医療の現場で奮闘していると思われますが、今後このようなことが起こらないようお願いしたいものです
*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。