国際的学術誌「Scientific Reports」に論文発表
特にドイツでは、自然炭酸泉に健康保険が適用され、体温上昇による健康法として広く国民に推奨されてきました。
日本でも湯治療法として全国に湯治場が点在しますが、その温浴効果のメカニズムには不明な点が多く、このことから本研究では様々な解析方法や臨床試験により「中性重炭酸イオン水温浴」の効果について検証しました。
研究の成果
①動物や培養細胞による実験において、重炭酸イオンにより血管内皮への一酸化窒素(NO)産生が誘導され血流が促進された
②ヒトを対象とした試験では、体温の上昇により冷えや睡眠の質が改善された
③今後、血行不良に伴う循環器領域の様々な臨床症状の改善への有効性が期待される
炭酸泉温浴の効果のメカニズムとして、従来、生体内の中性pHが環境下で溶存無機炭素として存在する重炭酸イオンの関与が想定されていることから、本研究では「中性重炭酸イオン水温浴」による重炭酸イオンの経皮吸収と血管内皮細胞に与える直接的な血流促進作用について解析を行いました。その結果、マウスの試験において対照群と比較して有意に血流を増加させ、その血液中の重炭酸イオン量や末梢血管における内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)