『新しい地域ネットワークの教科書 ご近所の共助があなたの未来をひらく』2021年10月18日発刊
1つめの理由は、自助と公助の間で、〝ご近所の共助〞が世の中の議論から取り残されているためです。自然災害などが起きた際、市区町村や国が手を貸す「公助」が来るまでは、ご近所内の自助と共助で乗り切るしかないのです。自宅の全壊や半壊、火災、怪我など、想定外のことが起きたら、自助だけで対応できないのは明らかです。
2つめの理由は、市区町村の3層構造(右の図)を真に機能させるためです。3層(ご近所)は、地縁組織やボランティアなどに丸投げ、中には、属人的でかつ引き継ぎが不十分なため、機能不全で形骸化している活動も多く、まさにブラックボックス状態となっているからです。
3つめの理由は、ご近所が「社会の変化」と「個人(家族)の日常」を、つなぐ場所だからです。ご近所の中に、私たちの家があることで、私たち自身や家族の生き方、学び方、働き方について考えることができる。さらに、共助に向き合うことで、自然に道徳心や公共心が育まれる。
つまり、ご近所は世代問わず、人間成長の場といえるからです。
市区町村の3層構造
「生活支援体制整備」と「自主防災」に光を当てる社会的意義
(1)生活支援体制整備
生活支援体制整備事業とは、2015年の国の介護保険制度の改定により、全国約1700の市区町村ではじまった、地域包括ケアシステムの中に位置付けられた事業です。