国際的に高く評価を受ける演劇カンパニーTheatre Company shelf 『バイオ・グラフィ: プレイ(1984)』上演決定 カンフェティでチケット発売
2021年12月ドラマ・リーディング公演舞台写真
上演に向けて
フリッシュ作品が現代古典として今なお読まれ、劇場で上演され続けているヨーロッパに比べて、日本でのフリッシュ受容は限定的である。小説では60年代に『シュティラー(邦題『ぼくではない)』、『ホモ・ファーバー(邦題『アテネに死す』)』、『我が名はガンテンバイン』が中野孝次氏によって翻訳された。また演劇では50年代に『ほら、また歌っている』、『戦争が終わった時』、70年代に『アンドラ』が翻訳・上演された。その後は「我々は労働力を呼んだが、やって来たのは人間だった」というフリッシュの言葉が日本で紹介されることはあったが、作品はほとんど忘れ去られたと言っていい状況だった。しかし1918年に、大阪で『アンドラ』(市川明訳:新訳)が、また東京で『ビーダーマンと放火犯たち』(松鵜功記訳:初訳)がそれぞれ上演され、フリッシュ受容に変化の兆しが見えてきた。
戯曲『バイオ・グラフィ:プレイ』初稿が書かれたのは東西冷戦、ベトナム戦争、1968年の学生運動の直前、また女性参政権(スイスでは連邦レベルで1975年にようやく認められた)の議論が活発化しはじめた時代である。