2022年12月1日 13:00
野澤梓 個展「また明日話ができたら、」12/13よりMEDEL GALLERY SHUにて開催
その少女は、白い光の粒で満たされたペパーミントやピンクの瞳を持ち、光の風に髪をたなびかせ、私たちを魅了する。また画面に刻まれた純白のきっぱりとした線は、野澤に特徴的なマスキングの技法によるもので、煌めく空間を隔てながらその重層性を強調し、さらなる物語の展開を予感させる。物語の主人公である少女は時には複数の顔を持ち、少女の揺れ動く感性が表現され、画家の記憶へと昇華されていく。
美術史ではキリストの肖像を繰り返し描くことに、ヴェロニカの聖顔布に続く宗教性が語られてきたのだが、現代では、自己が小宇宙を作り出し個人史に向き合う時代において、野澤が幾層にも自己を重ねた少女像を一貫して描くことに、新たな祈りの形を見出せるのではないだろうか。■プロフィール
野澤梓|Azusa Nozawa
1994年、静岡県出身。2019年に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業。
主な個展として「揺られる彼女は」(銀座蔦屋書店/東京/2022)、「ふれてほとぼり」 (MEDEL GALLERY SHU/東京/2021)、「× と Ч の は く ち ゅ ~ む」(hidarizingaro/東京/2018)など。
また主なグループ展として「BLOOM」