【4/19公開】イタリアの新鋭が描く現代の寓話『幸福なラザロ』。無垢な青年の姿が問いかけるものとは?
ラザロはひとり村に取り残されるが、やがて街に出て、かつての村人たちと再会し……。
■無垢な青年・ラザロが象徴するものとは?
主人公の“ラザロ”という名前は、キリスト教の聖人と同じ名前。彼は新約聖書のヨハネ福音書に登場する人物で、キリストの奇跡によって死後4日目に蘇ったというエピソードが知られています。そして、本作の主人公・ラザロも、まるで聖人のような存在感をたたえています。文句を言わず黙々と働き、仲間から仕事を押し付けられても怒らないラザロ。邪険に扱われても、いつも穏やかに笑っています。彼は人を疑うことを知らず、周りから軽んじられても、自分が不当な扱いを受けているということにも気づいていません。
こんなにも感情がないラザロは、もしかして人間ではなくゴーストなの?という疑念すら抱かせる姿に、観客は少しドキドキしながらも、映画の結末を見届けたいという気持ちになることでしょう。
ラザロを演じるのは、高校在学中に監督にスカウトされたアドリアーノ・タルディオーロ。1,000人以上の中から発掘された新星です。無垢でいて、しかし心の奥では何を考えているか分からない瞳の演技は必見。