【4/19公開】イタリアの新鋭が描く現代の寓話『幸福なラザロ』。無垢な青年の姿が問いかけるものとは?
デビュー作とは思えないほど、鮮烈な印象を残しています。
■村から街へ。異なる世界で生きることになった者たちは“幸福”なのか。
映画の後半、村を離れたラザロは、先に出て行った村人を追うようにして、街へとたどり着きます。
そこで再会するのは、かつて農園でともに暮らした仲間たち。なかでもラザロのことを気にかけていた村人のアントニアは、久々の再会に驚き、道端でラザロの足元に跪きます。こうして聖人のように仲間に迎え入れられるラザロ。
そこから、元村人たちの現在の暮らしぶりがどんどんと明らかになっていきます。
お金をもらわず、農園主に搾取されていた生活から、彼らは労働の対価として賃金を得るようになっていました。しかし、収入は決して良くなく、時には詐欺まがいの商売でお金を稼ぐことも。さらにラザロは、農園主の息子・タンクレディにも再会します。昔の面影を残しながらも、すっかり没落したタンクレディ。お金も権力も失った彼ですが、お人好しのラザロは何とかタンクレディの力になろうと行動し……。
かつての小作人生活と、賃金を得て働く今の生活。