2012年7月3日 18:09
スペインの映画監督ホセ・ルイス・ゲリンの映画祭を開催
そのとき私たちは、過去にひたる郷愁ではなく、何かをよみがえらせる生々しい想像力を手にすることになる。ジョン・フォード監督の『静かなる男』のロケ場所を探索する『イニスフリー』(1990)にしても、1930年に無名の映画監督によって記録された家族の肖像から創作の羽をひろげてゆく『影の列車』(1997)にしても、ドキュメンタリーがいつの間にか類稀なるフィクションの世界に私たちを招き入れるのだ。
「時間が私にとっていちばんのミステリーです。考えると、めまいを起こしそうになります。私が映画を撮るのは、時の不思議さを何とか伝えたいと思うからです」。そこには、観客の視点を固定せず、自由に解釈できる宇宙が拡がっている。「いつも、被写体に対して、どのような関係を持つかを考えながら撮ります。そして、撮られた被写体が、観客とどのような関係を持つのかということを考えます」。
ホセ・ルイス・ゲリン映画祭
期間:6月30日(土)~7月27日(金)
場所:渋谷 シアターイメージフォーラム
取材・文:相田冬二
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