第15回東京フィルメックスが11月22日にメイン会場である東京・有楽町朝日ホールで開幕した。オープニングを飾ったのは、塚本晋也監督の最新作『野火』。大岡昇平氏の同名戦争文学を映画化した作品で、塚本監督は「観終わったら100%ゲンナリするのは間違いない」。それでも「暴力は映画の中だけで十分。実際に戦争が起こったら、これでは済まされない」と本作にこめた思いを熱弁した。
東京フィルメックスその他の写真
塚本監督が20年間温め続けた企画で、脚本、編集、撮影、製作、出演も兼ねた渾身作。第二次世界大戦末期のフィリピン戦線を舞台に、一人の日本兵の視点から戦争の恐怖を生々しく訴えかけ、今年のヴェネチア映画祭で絶賛された。2015年の日本公開を前に、フィルメックスで“凱旋上映”されることになり、塚本監督は「こうした映画が作りづらい状況で、まったく制作費がなかったが、自分とカメラ1台あればという思いだった。
最終的には多くのご協力をいただき、完成させることができた」と感無量の面持ちだった。
オープニングセレモニーには塚本監督をはじめ、映画に出演するリリー・フランキーと森優作、音楽を手がける石川忠が駆けつけ、「監督の長年の思いが詰まった作品」