ベルリン映画祭で金熊賞(グランプリ)と銀熊賞(主演男優賞)をダブル受賞した『薄氷の殺人』が間もなく日本で公開になる。郊外で起こる連続殺人と事件を追う刑事、被害者につながる謎の女の駆け引きを巧みに描いたサスペンス作品だが、監督を務めたティアオ・イーナンは「観客が参加してもらえる“生きた映画”」を目指したという。来日時に話を聞いた。
その他の画像
本作の物語は、1999年に中国の郊外で男の死体がバラバラに切り刻まれて複数の石炭工場で発見されたことから始まる。刑事のジャンは事件を追うが真相は解明されず、5年後に再び同様の手口の事件が起こる。すべての被害者は謎の女ウーと親密な関係にあり、ジャンは彼女に近づいて手がかりを得ようとするが、彼もまたウーに魅了されていく。
本作では事件の“真相”を追うドラマと、ジャンとウーの危険な愛の行方、そして郊外都市で暮す人々の人間ドラマが絶妙なバランスで描かれる。「脚本を書く際には事件を主軸に様々な要素を加えていきました。
しかし、ドラマを描きこみ過ぎるとミステリーの要素が薄まってしまう可能性もあります。ですからバランスをとりながら描いていくことが難しかったのです。