くらし情報『キューバ映画に魅了された今年のSKIPシティ映画祭』

2015年8月5日 16:46

キューバ映画に魅了された今年のSKIPシティ映画祭

さらに注目すべきは決して恵まれた制作環境やバジェットで撮られたわけではないこと。おそらく登場人物も場所も予算もかなり限られたものと見受けられる。ところが人間を深く掘り下げた秀逸な脚本としっかりとしたビジョンが感じられる力強い映像で、それらのハンデを見事に克服している。この確かな力量とアイデアへの探究は、日本の若いインディペンデント作家たちは大いに参考になるに違いない。

一方、監督賞を受賞した『絶え間ない悲しみ』も賞賛に価する力作だった。ひとりの男の子供を宿した二人の女性の物語。メキシコの片田舎を舞台に、未来の選択を迫られる二人の女性の心情が描かれる。セリフを排除した前半から只ならぬ緊迫感が漂う独特の演出力と、メキシコの広大な荒野を存分に生かした映像美が目に焼きつくほど印象的だ。
アレハンドロ・ゴンザレス・イリャニトゥを筆頭に近年、世界で活躍する才能を輩出しているメキシコ。新たなメキシコの新鋭としてホルヘ・ペレス・ソラーノ監督の名は覚えていて損はないだろう。
ほかにもレバノン生まれのアミン・ドーラ監督がダウン症の子を持った父親が社会の目を変えようと奮闘する様を描いた『ガーディ』、ハンガリーのカーロイ・ウッイ・メーサーロシュ監督の異能が弾け、日本映画へのオマージュも随所に登場するコメディ『牝狐リザ』など、海外勢は独自の色がある作品ばかりで大きな存在感を示した。

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