急きょオーディションで見出したサポートドラマーを帯同し、翌10月にはソウル、パリ、ケルン、ベルリン、ロンドン、台北へと旅立った。映画はバンド史上最大の危機と向き合い、絶望ともいえる喪失感を乗り越えるメンバーの姿にも光をあてる。
「彼らが智史さんの不在をどう乗り越え、進むのか。確かにこの3か月は特別な時期だったと思うんですが、それでも端的に美しく清々しい日々だった……。というのが、私の目に映った真実でした。RADWIMPSのメンバーは皆、音楽活動に対して大きなビジョンと、高い理想を掲げている。自分が生み出す音楽に対する信頼の強度も非常に高いですし。そんな姿が周りの人々やファン、何より彼ら自身にとって希望であると思います。
音楽と映画では、表現方法も制作体制も違いますが、それでも彼らの志の高さには、同じ作り手として刺激を受けました」(朝倉監督)
■朝倉加葉子監督プロフィール
東京造形大学卒業後、TV制作会社勤務を経て映画美学校を修了。2013年に初長編となる全編アメリカ撮影の映画『クソすばらしいこの世界』が公開された。また、同年の短編『HIDE and SEEK』は世界30か所以上の映画祭で上映された。