そして、わかった上で、また最初から読み直したのよ」(アダムス)。重大な使命を任されるものの、ルイーズはあくまで一般人。「軍隊や危機管理についてのリサーチはしましたかと取材で聞かれたりするけれど、必要なかったの」とアダムスは語る。「ドゥニと初めてミーティングを持った時、私たちはルイーズのキャラクターという一番大事な部分において、まったく同じ視点を持っていることが分かった。彼女はごく普通の人。エイリアンに会うなんて想像もしたことがないし、あんな服(一見、宇宙服のような体を守るスーツ)を着たこともない。すべてはそこをベースに築かれていくのよ」(アダムス)。
アダムスとレナーは『アメリカン・ハッスル』でも共演した仲。
今作では助演に徹するが、「ルイーズが経験することが本当に興味深いので、僕もこの物語を語る手助けをしたいと思ったのさ」と、レナーは出演を決めた理由を述べた。アダムスは、やはりこの映画祭で上映された『Nocturnal Animals』でも絶賛されている。オスカーキャンペーンはどちらに絞るのかと聞かれると「今、私にとって大事なキャンペーンは米大統領戦だけよ」と答え、場内を笑わせた。
『メッセージ』
2017年公開
取材・文・写真:猿渡由紀
柴咲コウ“小夜子”の冷徹な表情捉える『蛇の道』場面写真