岡田利規と森山開次の対立は解決するのか? 『家電のように解り合えない』開幕まであとわずか
まったりしていたけど、大事な時間でした。結果、僕と森山さんのある種のドキュメントが反映される作品になったと思います」。
ひとり暮らしをする女性のアパート、という設定。女性役として森山と共演するのは女優の安藤真理と青柳いづみで、美術は、「ヘロヘロな感じというか、弱いところが僕の作風と共通している」という金氏徹平に依頼した。ポイントは、部屋に置かれた様々な家電だ。「乱雑でなく、こぎれいにしているのに、彼女の部屋にある電化製品は壊れやすい。森山さんはその原因的な存在、なのかな? うーん、まあそうとも言い切れないんですけどね。冷蔵庫や電子レンジの仕組みって、いくら聞いても理解できない。
理屈は覚えられるし、テストに出れば点は取れるだろうけど、本質的にわかってはいない。家電をモチーフにした理由はそのあたりで、異なるふたつの対立を、ふたりの女優と森山さんという構図に託して、ダンスの種類とか身体の感じとかで提示します」。
劇中では、俳優が踊り、ダンサーがセリフを話すという逆転した行為で両者が歩み寄ろうとする試みも描かれる。一方で「“解り合う努力が足りない”と、両者の、あるいは一方の努力の欠如を批判したところで、何の解決にもならない」