萩原聖人、『すうねるところ』で演じる人間くさい吸血鬼を語る
でもそれが成立しちゃうんです。心と顔の筋肉がつながっていて、心の動きがそのまま表情に出る。普通ならそこをつなげるまでが難しいと思うのですが、それが自然にできてしまうすごい人だと思います」。
萩原が演じる夏彦は、不器用ながらも人間の子どもに向き合おうとする男。「愛あるがゆえにうまくコミュニケーションがとれないことって、最近世の中にいっぱいある気がします。その感じが、いかにも人間らしいと思うんです」。マリオを演じる村井については「これだけ小さなサイズの芝居は初めてみたいで、すごく苦労してます。でもこの経験がきっと彼を大きくするんじゃないかな。
良大が内藤さんにダメ出しされているのを聞きながら、僕らも『ああ、その通りだな』と初心を思い出せるんです」。
登場人物はたった4人。とくに吸血鬼の3人はほぼ出ずっぱりだ。「毎日『疲れたー』って心の底から思います。若い頃は芝居が楽しかったけれど、歳を重ねるほどに正解がわからなくて苦しくなる。でもしっかり疲労できるということは、ちゃんと芝居に向き合えてるってことだと思うんです」と真剣なまなざしで語る。この作品は東京公演の後兵庫、そして全国を回る。「特に最後の新潟、福岡、大阪は1日置きのハードスケジュール。