くらし情報『佐藤隆太、大暴走する“四谷怪談”で全身全霊の長ゼリフ』

佐藤隆太、大暴走する“四谷怪談”で全身全霊の長ゼリフ

佐藤隆太、大暴走する“四谷怪談”で全身全霊の長ゼリフ
橋本治作、蜷川幸雄演出による“騒音歌舞伎(ロックミュージカル)”『ボクの四谷怪談』が9月17日に東京・シアターコクーンにて開幕した。橋本が36年前に勢いのままに書き上げて封印していた怪作を、蜷川が恐るべき嗅覚で発掘し、上演を実現。鶴屋南北作『東海道四谷怪談』の確かな枠組みから自由奔放に暴発した作品世界の中、佐藤隆太を始めとする豪華すぎる出演陣が鈴木慶一の音楽に乗り、小気味よい狂騒を繰り広げる。奇妙奇天烈なパワーが爽快感を呼ぶ舞台だ。

開かれた定式幕の向こうにあるのは「昭和51年にして文政八年、さらに元禄十四年であり、しかも南北朝時代」という設定だ。蜷川はそのハチャメチャなカオスをオーバーチュア(序曲)できっちりと提示する。歌舞伎さながらの扮装で見得を切る登場人物たちが、一瞬にしてジーンズ姿へ変身。されど腰には刀あり。
70年代ファッションが当時のロックの匂いを助長する。この舞台の主人公、民谷伊右衛門(佐藤)は主義主張の見えぬ、つかみどころのない男として登場する。前半の軽快なリズムを作るのは、伊右衛門に天真爛漫な愛をぶつけるお梅役の谷村美月と、お梅の父の伊藤喜兵衛に扮して熟練の怪演をみせる勝村政信のふたり。

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