(中越)。
現代人にとってリアルなテーマを描きながら、演劇表現はリアリスティックな手法にとどまらない。トムとエイミィ以外の19役を加藤忍、土屋裕一、春風ひとみの3人が演じ分けるほか、随所にモノローグを挿入したり、同じ場面をトム目線、エイミィ目線の2パターンで描いたりと、様々な趣向が凝らされる。「日常的な会話の中に、人間の多面性が描かれているし、演劇的な面白さを感じますね」(中越)、「エンディングが絶妙なんです。“え、そこで終わるの?”っていう。観てしばらくは、このふたりのことが気になって仕方なくなるかもしれません」(池内)。
「屈折した役の多かった自分にとって、等身大の人を演じるのは難しいことですけど、ただのダメ男ではないトムの純粋さを大切に演じたいですね」と池内が語れば、「強い個性のないエイミィをいかに魅力的に演じられるか。トムが振り向くような女性になれば」と中越も意欲を口にする。
栗山が「匂いを失った俳優には太刀打ちできない作品。池内さんと中越さんには、ヨーロッパの自由な香りというか、野性が感じられる」と製作発表で語っていたとおり、ふたりが果たす役割はきわめて大きい。普通と見えて新しい、企みに満ちた舞台が期待される。
公演は、東京・シアタークリエにて8月16日(金)から26日(月)まで。チケット発売中。
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