続けて「舞台の上というのは、一人ひとりの役者さんが、それぞれの人生をかけて、ある人物の生きている姿を見せる場所。そこは私が立ち入っちゃいけない領域だと思っていて。でも何か不安に思うことがあれば、何でも協力させてもらいますよ」と優しく微笑む。その言葉に貫地谷の心も晴れたようで、「すごく気持ちが軽くなりました!原作者の方にこんなふうにおっしゃっていただけるなんて、なかなかないこと。その胸をお借りするつもりで頑張りたいです」と思いを新たにする。
「マヤの核として大事にして欲しいことは?」と美内に尋ねると、「マヤっていうのは本当に普通の女の子なんですが、自分の中にたったひとつの宝みたいなものを常に持っている。その宝が輝く瞬間=マヤにとってのお芝居であり、そういう光がどこかに垣間見えるといいですね」と明かすと、貫地谷も「ひとつのことに情熱を傾けられるってとても幸せなことだと思います。私もすごく幸運なことに、自分が好きなお仕事をやらせてもらい、生活をしている。
そういった感謝の気持ちを忘れず、また私がこの作品から受けた大きな衝撃の、その破片だけでも持って帰ってもらえるような舞台にしたいです」。そう語る貫地谷の目は輝きに満ちていた。