距離が長かろうが短かろうが、高萩は常に視線の先に佐藤をとらえる。パスが出るとともに、佐藤は相手DFとの駆け引きを制し、裏へ抜け出す。相手守備陣が佐藤の存在に意識を奪われればしめたもの。背番号11をおとりに、石原がボールを受ける。さらに左・山岸智、右・柏好文の両サイドからのクロスだけではなく、ボランチ・青山敏弘からの縦パスも効果的だ。G大阪にとって、広島の誇るアタックは厄介極まりない。
ニューヒーロー賞を受賞した宇佐美貴史(G大阪)に、かつてのチャンスメイカーのイメージはない。バイエルン、ホッフェンハイムで2シーズンを過ごし、2013年途中にG大阪に復帰した宇佐美はJ2リーグ18試合で19ゴールを量産した。
今季もケガで出遅れたが、リーグ戦では8ゴール、『ナビスコ杯』では6試合5得点とストライカーに変貌を遂げた。一瞬で相手を置き去りにするドリブル、タイミングをずらすセンス、高いシュート技術は、まさにストライカーのそれである。
宇佐美だけではない。2トップを組むパトリックは8得点、2列目の阿部浩之は7得点、リンスと倉田秋と大森晃太郎は5得点と、G大阪はどこからでも点が取れるのが強みだ。広島のしっかりラインを形成した守備網は定評がある。