仕事にも恋愛にも疲れたひとりの女性のもとに、ある日突然、白鳥が飛び込んできて若い男性に変身したら……。思いがけない出来事から始まる人生の再生を描く『スワン』が日本初上演される。この大人のファンタジーにどう取り組んでいるのか。主演の一路真輝、演出の深作健太に聞いた。
舞台『スワン』チケット情報
エリザベス・エグロフによる『スワン』は、ニューヨークでも好評を博した珠玉の小品。主人公の女性・ドラとその愛人・ケビン(大澄賢也)、人間になった白鳥(細貝圭)の3人だけで、ドラマが進んでいく。稽古場には今、その3人の熱気が渦巻いているらしい。「台本を一読したイメージでは、暗く静かな空気のなかで展開するかと思っていたんですけど、意外にも、とても躍動的なお芝居になっているんです」(一路)。
「3人の身体性を活かしていくと、動きの多い芝居になってきて(笑)。その結果、言葉のやりとりもどんどん面白くなって、世界がすごく広がっているんですよ」(深作)。
だから、単なる男女の三角関係というところを飛び越え、精神宇宙を旅するような物語にもなっている。「ドラは年齢を重ねた女性なら誰もが持っている悩みに直面しているんですけど、ひとつの台詞や何気ないやりとりの裏にもいっぱい意味があるんですね。