四方を客席に囲まれた舞台。登場人物は4人だが、主にふたりずつのシーンが連続することで、物語は展開していく。今回の新作でも、ニール・ラビュートの書く活き活きとしたセリフは健在。今を生きるカップルならではの、等身大の言葉の数々が劇中を躍る。なかでもグレッグ役の村井のセリフ量は驚異とも言えるが、安定感のある演技力により、そのひと言ひと言が観る者の心にしっかりと伝わってくる。
4人のキャラクターは皆バラバラで、それぞれが非常に個性的。グレッグの優しさゆえの優柔不断さや、ステッフの切ないほどの勝ち気さ。ケントの短気だが憎めない愛らしさに、カーリーの愛情ゆえの物分かりのよさ。
そういった多面的な人物描写が本作の欠かせない魅力であり、観る側が誰に感情移入するかにより、作品自体の見え方が大きく変わっていくのもまた興味深い。
3年が経ち、少しだけ大人になった4人の男女は、“カワイク”あることよりも、“シアワセ”になるためにどうすればいいのかを考える。こうしてよりビターな味わいとなり、大人向けの極上のラブ・ストーリーへと進化した『シアワセ~』。もちろん本作をより楽しむためには、合わせて『カワイク~』も観劇されることを強くおすすめしたい。