全員が彫像の如くゆったりと腕を伸ばし、風にそよぐように揺れるシーンは繊細な美しさに満ち、また、ふたりがユニゾンで踊るシーンでは、空気が大きく動くのが見えるようだった。アンサンブルも登場してのフィナーレは荘厳。
そして第三部は、ミュージカル『タンゴ・アルゼンチーノ』より、ピアソラらタンゴの音楽に乗せて「情熱の死」を表現。冒頭、ずらりと並べた椅子で、DAZZLEとアンサンブルの総勢33名の男性が黒衣で踊るさまは、イスラエルのバットシェバ舞踊団のダンスを彷彿とさせる。手鏡を持って髪をなでつけたり、タンゴらしくペアで踊りそうで踊らなかったり…と、一風変わった演出も。この第三部では、玉三郎も振付の一部を手がけている。妖艶な中にも真っ直ぐなパワーを感じさせる玉三郎の振付と、必ずどこかに鋭角さや歪みを加える長谷川の振付が、全体の黒いトーンに多彩な陰影をもたらしていた。
三部それぞれ、まったく趣きの異なる世界を、DAZZLEメンバーがフル出演して踊りきった『バラーレ』。
進化・深化するその舞台に、千秋楽まで目が離せない。
airweave presents『バラーレ』は3月15日(日)まで、東京・赤坂ACTシアターで上演。チケットは発売中。
取材・文:高橋彩子
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