くらし情報『水夏希、凛々しくも切ない義経を熱演!』

水夏希、凛々しくも切ない義経を熱演!

揺れる心を隠しもせず、それでも力強くまっすぐに立つ姿はカッコ良く、水夏希という女優が持つ魅力が存分に生きた。彼女にとっても代表作になりそうなはまり具合である。

一方で、やはり原作が本来持つ群像劇という部分でも、充実のキャストが多彩な表情をみせた。弁慶を演じる馬場良馬が熱い感情を爆発させれば、静御前に扮する新垣里沙が激しくもまっすぐな思いをほとばしらせる。平惟盛に扮する坂元健児はシリアスな演技で物語を締めると同時に、“世話物”的なやわらかい表情も見せ芸達者ぷりで舞台を支える。碇知盛のシーンを歌舞伎さながらに熱演する小笠原健、不良少年・いがみの権太がみせた一世一代の大芝居を悲しくみせた聖也、佐野岳の華やかなアクロバットなども印象的。それぞれがそれぞれに必死に生きたその生き様が、義経を中心とした大きな時代のうねりに巻き込まれていくさまが、悲劇的かつドラマチックに立ち上がる。

膨大な情報量のある原作の筋がわかりやすく整理され、古典作品の再発見、という意味でも価値のある作品。
もともとファンタジックな時代モノを得意とする30-DELUXの作風ともマッチし、彼らと歌舞伎作品との幸せな融合をみた。さらに能舞台のようなセットや、人形浄瑠璃を取り入れた演出など、歌舞伎のみならず、日本の伝統芸能を果敢に取り入れたところにも意欲を感じる。

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