とはいえ微笑ましい一幕もあった。演出家自ら、紗南ちゃんになりきって実演するおどけた動きや、タレント仲間の宇宙人アイドル・CHaCK-UPのメンバーの愉快な掛け合いに笑いが起こる。和気あいあいと進むなか、みんなのお兄さん的存在は紗南ちゃんのヒモ(!)にしてマネージャーの相模玲を演じる山本一慶だ。第一声から誰よりもデカイ声でセリフを言い、ダブルキャストの相手役それぞれの質問に答え、演出家の指示をいち早く受け、周りに見えるように「こんな感じ?」と動き、先輩としての背中を見せていた。
冒頭、登場人物紹介の場面では全員が自分の役をアピールすべくその場で動きを考えてはキャラクターをふくらませ、恋人同士の三屋先生役と田中先生役の八木菜々花と平井浩基はイチャ付き(笑)、紗南の母で作家の実紗子を演じる三石琴乃は早くも役に徹して実紗子と同じ着物姿で参加、羽山の父で企業戦士の冬騎を演じる本郷弦は大真面目な顔で淡々とアドリブを放り込み笑いを誘う……そこにあるのは、競い高め合うすてきなカンパニーの姿。果たして、どんな魅力的なこどちゃが誕生するのか、わくわくする稽古場だった。
舞台『こどものおもちゃ』は8月20日(木)から30日(日)まで、東京・銀座 博品館劇場で上演。チケットは発売中。
取材・文:おーちようこ
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