古川雄輝撮影:奥村達也
衝撃的で意表を突く物語が魅力のアイルランドの劇作家・マーティン・マクドナーの舞台『イニシュマン島のビリー』が上演される。主役を務めるのは、映像や舞台での活躍が目覚ましい、若手俳優の古川雄輝。幼少のころから海外で暮らしたバイリンガルで、日本語と英語で今作の台本を読んだという古川に話を聞いた。
『イニシュマン島のビリー』チケット情報
「ブラックコメディなので、笑いどころがたくさん。でも英語と日本語では、ニュアンスがかなり違う。『英語ではこういう表現なので、日本語のセリフも変えてみませんか』と演出家の森新太郎さんに提案させて頂くこともあります」と頼もしい。1930年代のアイルランドのイニシュマン島を舞台に、生まれつき右腕と両足が不自由な17歳の青年ビリーが役どころだ。「基本は皆に愛されていますが、それをビリーが感じ取れているかは微妙なんです。
台本を読むかぎり、彼は内気でやさしい性格。でも稽古に入ると、森さんから『ここはビリーのやさしさだけではなく、いじわるな部分も見せて』と指示があり、両極するさまざまな感情があるのだと、ビリーに対する印象も変わってきましたね」。何もない退屈な島で、身体に障がいがあることで周りの人々にからかわれ、バカにされてきたビリー。