思い入れある劇場で最後に中井貴一が演じる落語の世界
そんな独自の空間で最後に演じるのが、志の輔の落語の世界。外国大使夫人が雛人形を見に来た商店街の騒動を語った「メルシーひな祭り」を軸に、4本の落語を紡いでいく。「志の輔さんはとても優れた脚本家でありプレイヤーであると感じます。登場人物の個性が浮き立っていて、それを全部ひとりで演じていらっしゃる。芝居がそれにどこまで対抗できるのか、間合いひとつをとっても、非常に難しいことだとは思いますが、落語より面白かったよと言わせるのが僕たちの使命。落語を意識しすぎず、ちょっと洒落た大人の舞台にしたいと思っています」。『コンフィダント・絆』『趣味の部屋』など、これまでもPARCO劇場で上質な芝居を見せてきた中井。今回も笑いのなかに、宝物となるような何かを潜ませてくれるはずだ。
劇場の最後に立ち合うにあたっては臆さず思いをあふれさせる。「ここにいられる時間を大切に演じることになるでしょうね。来てくださる方も、肩の力を抜いて気軽に観ながら、この空間をしみじみ感じてくださればうれしいです。カフェで売っているおいしいホットドッグも最後にぜひ(笑)」。劇場空間を愛する者同士、濃密な時間を味わいたい。
公演は6月4日(土)