チャーリーを演じる小池徹平、ローラを演じる三浦春馬、そして、ふたりを支える工場の従業員やドラァグクイーンのパフォーマーたち。特に、ドラァグクイーンに扮した三浦はまるで別人だ。露出度の高いミニスカートに高いピンヒールを履き、鍛え上げられた美しい身体の隅々まで神経を行き渡らせ、しなやかに歌い踊る。ローラが憑依したようにしか思えないほどで、客席からは自然と歓声や手拍子が沸き起こる。小池も若き経営者として工場再興に奮闘する反面、プレッシャーに押されて周りが見えなくなることも。そんなチャーリーを繊細に表現し、力強い歌声でも魅せる。さらに、コミカルでキュートなソニンの演技など、個々のパフォーマンス力が抜群に素晴らしく、彼らがひとつになったときのパワフルさと華やかさにも圧倒される。中でも、靴工場でブーツができたときの1幕のラストシーン。
ベルトコンベアを駆使したステージングで、役者たちが入り乱れながら歌い踊り、喜びを表す様は圧巻だ。また、華やかなステージの中には、「父親の期待に応えられなかった」というふたりの共通する想いや、「他人を受け入れることで世界が変わる」というメッセージも。楽しいだけのステージではなく、そうしたドラマ性が作品に深みを与え、ラストのハッピーな大団円へと繋がるのだ。