駒田一撮影:渡邉一生
ベトナム戦争末期に、ベトナムの少女キムと米兵クリスの引き裂かれた愛を美しい楽曲で描くミュージカル『ミス・サイゴン』。1989年にロンドンで初演を迎え、1992年に日本で上演されて以来、再演を重ねてきた人気作品だ。その中で、どん底から這い上がってきた男エンジニアは、物語の狂言回しで、欲しいものを手に入れようとあがく、貪欲なキャラクターだ。そんなエンジニアに惚れ込み、3回目のオーディションで、2014年にこの役を勝ち取ったのは駒田一。今年、市村正親、ダイアモンド☆ユカイと交互にエンジニアを務める駒田に話を聞いた。
ミュージカル「ミス・サイゴン」チケット情報
サイゴンでキムが働くキャバレーを経営するエンジニアは、アメリカに行きたいと熱望し、キムを利用しようとする。「ギラギラ、ドロドロしているたくましいドブネズミのようなエンジニアは、人間が誰しも持っている部分で、とくに共感できたんです」。40代で受けた1回目、2回目のオーディションは共に不合格。
ラストチャンスだと決意した3回目は、汚い格好で臨んだ。「オーディション会場に入る前に、霧吹きで水を吹きかけて、あついイメージを出しました(笑)。