くらし情報『映画館のスクリーンの向こうから若者の現実をのぞき込む『フリック』』

映画館のスクリーンの向こうから若者の現実をのぞき込む『フリック』

『フリック』稽古の模様

『フリック』稽古の模様


近年『永遠の一瞬 -Time Stands Still-』『バグダッド動物園のベンガルタイガー』など、日本未発表の欧米現代戯曲を上演してきた新国立劇場にて、2014年ピュリッツァー賞受賞の『フリック』が初演される。マキノノゾミの演出の下、木村了、ソニン、村岡哲至、菅原永二の4人が集結。焦燥と不安、葛藤を抱えて現代を生きる若者を時にコミカルに、時に切実さをもって描く。9月某日、熱気溢れる稽古場を取材した。

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アニー・ベイカーによる本作の舞台はマサチューセッツ州の田舎の古びた映画館、通称“フリック”。いまだに35ミリフィルムで映写するここで、映写技師になることを夢見るサム、常に気怠そうな紅一点のローズ、そして映画狂の若者・エイヴリーは仕事に励むが、この古き良き映画館にもデジタル化の波が押し寄せる……。

稽古場にはズラリと劇場のイスが並んでおり、奥には映写室がみえる。観客は普段、映画館で映画を鑑賞するのとは逆方向、スクリーンのこちら側から劇場で起こるドラマをのぞき込む形になっている。


現代のアメリカの片田舎を舞台にしているが、それぞれに問題を抱え、将来への不安、わずかばかりの夢や希望、他人とのコミュニケーションへの怖れを持ち、それでも生きていくという若者たちの姿は、現代の日本と全く変わらない。

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