記念すべき出会いに選ばれた作品は、マーラーの交響曲第5番。彼女が愛して止まない楽曲であると同時に、ユダヤ人マーラーはエルサレム響にとっても特別な存在である。「お互いにとって本当に大切な作品。彼らの持ってる演奏上の“語法”の中で、ある部分では共有したり、逆に化学反応を起こしたりなど、予想を超える体験になりそうでとても楽しみです」
今回の日本ツアーも、西本の強い意向で、全10公演のメイン曲は本作のみという。それだけマーラーへの思いは強い。「マーラーの作品については、歌がない場面でも歌曲的というか、“無言歌”のようにも感じます。第5番の有名なアダージェット(第4楽章)は特に隠れたテキストを感じますね」
「ただ、綺麗だけでは片付けられないのもマーラー。とにかく感情の振り幅がものすごい。
演奏者も心して取り組まないと、精神的にも肉体的にも参ってしまうほどです」「音楽というものは、演奏家だけでは完成せず、聴く人の中に届いて最終完成します。ぜひご来場いただき、一緒に音楽を作り上げましょう」
超名曲ドヴォルザークのチェロ協奏曲や、映画「ベニスに死す」のテーマ曲「アダージェット」でおなじみのマーラー第5交響曲など超豪華プログラムの今公演は11月29日(火)東京芸術劇場 コンサートホールにて開催。