悲劇から沸く笑いに本質を見る。松尾スズキ15年ぶりの衝撃作
松尾スズキと平岩紙撮影:石阪大輔
松尾スズキ率いる演劇ユニット、日本総合悲劇協会(ニッソーヒ)が今夏開幕の第6回公演『業音』を発表。2002年に第3回公演として上演された舞台の、実に15年の時を経ての再登場である。初演で荻野目慶子が怪演した主人公の座を、今回は平岩紙に託しての“封印解除”だとか。作品の衝撃度が伝わる物々しい響きに「僕が封印したかったわけじゃない」と苦笑する松尾(作・演出・出演)と、覚悟のバトンを渡された平岩に話を聞いた。
日本総合悲劇協会 vol.6『業音』
「やりたかったけれど受けてくれる女優さんがいなかった。それで平岩に直談判したんです。“まかせろ!”と半ば強引に(笑)」(松尾)
「フフフ。私も初演に出たので、荻野目さんの演技を間近で感じていましたし、カラダを張る、張らないはともかく……いえ、それもありますが(笑)、とにかく尋常な役ではない。
自分に務まるだろうかと悩みましたが、まかせろと言っていただいたので胸をお借りしようと思います」(平岩)
「『ふくすけ』の再々演(12年)で平岩は目の見えないサカエという役を演じたんですが、それをやり通したことで僕の中で平岩という女優の幹が太くなり、いつか彼女が主役の舞台をやりたいと思った。