幸吉を嫌い、まるでその音で突き刺すかのように激しくドラムを叩く薮内。それでも食らいつく幸吉。張り詰めた空気の中で起きる小さな変化が肌で感じられるような、舞台の醍醐味が味わえるシーンだった。
3つ目は、練習スタジオのシーン。まず登場したのは、後藤から「(取材陣に)悲しいばっかりの芝居だと思われたら困るからね、あなたたちの芝居にかかってる」と言われた、多田野曜平と菊池健一の“阪急オアシス”というデュオ。ふたりはコミカルなやり取りと、オアシスへの憧れが色濃く反映された(?)生演奏を披露し、稽古場を笑いに包む。そしてそのまま、幸吉の娘が所属していたガールズバンド“スキッドマークス”の練習風景に。ギターボーカルの葉月(相良)とベースのくりこ(松村)、キーボードのレイ(千菅)のもとに幸吉が訪れ、一緒に演奏してみるというシーンだ。
演奏にはまだたどたどしさもあるが、生演奏ならではのライブ感、そして音楽をやることへの喜びが感じられる。演奏中、目を合わせて笑い合う姿も楽しそうだった。稽古後は、スキッドマークスの4人が中村 中書き下ろしの楽曲『月夜のカノン~ロックver.』を生演奏。入りに失敗した内場には、菊地が吉本新喜劇ばりのコケ!大笑いの中、内場も「ありがとね!」