モンテヴェルディ:歌劇「ポッペアの戴冠」
「切れば血が出るような、生々しさ」「いきいきとした人間ドラマ」──。出演歌手たちがそう口を揃えるリアルな愛憎劇。今年生誕450年の作曲家クラウディオ・モンテヴェルディの晩年の代表作、オペラ《ポッペアの戴冠》が上演される。公演の指揮者・鈴木優人と出演歌手らによる記者会見が開かれた。
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指揮者の鈴木が「勧善懲悪ならぬ勧悪懲善」と表現するように、ローマ皇帝ネローネ(ネロ)と美女ポッペアのW不倫愛に端を発して、ネローネは反対する腹心を自殺に追い込むわ、正妻のオッターヴィアはポッペアの暗殺を企むわ、不道徳で不正義な謀略が渦巻く物語。その不条理をモンテヴェルディが官能性豊かな音楽で描いた傑作だ。17世紀初めのオペラ誕生から間もない時期に、人間の暗部までをこんなにリアルにえぐり出す作品が生まれていることに驚く。男役も含め、登場する役の多くが女声の音域で書かれた作品を演じるのは、森麻季(ポッペア)、レイチェル・ニコルズ(ネローネ)を始め、波多野睦美(オッターヴィア)、森谷真理、小林沙羅、藤木大地、櫻田亮ら実力派揃いの豪華オールスター・キャスト。